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アトピーを経過するうえで知っておいてほしい心構え・注意点

アトピーの経過について、写真を比べて考えてみる

上のアトピーの写真は、ある患者さんの初回の状態を撮ったものです。

背中の他の部分と比べて明らかに皮膚が赤くなっており、炎症があるのがお分かりいただけるかと思います。

写真で見るとやや暗く見えるかもしれませんが、実際には非常に真っ赤な状態でした。

夜は熱感と痒みで眠れない。湧き上がるような熱い感覚がある状態です。

眠れない日々が続くので、肉体は当然、精神的にも疲労がピークです。

 

そして、上記の写真が、翌日撮ったものです。

炎症が強く、睡眠もままならないため、連日の治療が好ましいと判断し、また、ご本人の都合もついたので、翌日に来ていただきました。

1枚目の写真と比べて、赤味が引いているのがお分かりいただけるでしょうか。

炎症のない部分の肌の色と、赤味のある部分の色を比べて、境目がぼやけた感じに変化しているのがお分かりかと思います。

1回目の施術の効果が表れている証拠です。

この方に聞いてみました。

「調子はどうですか」

するとこの方は、

「全く変わらないです」

とのこと。

写真で見ると、明らかな変化があるのに、自覚症状としては、変化はない。ここ、大事なポイントです。

続いて、次の写真をご覧ください。初回より1か月後の写真です。

 

 

わかりやすくするために1枚目の写真と一緒に並べてみましょう。

1か月でかなり赤味が引いているのがお分かりいただけるかと思います。

この方は、この日初めて「だいぶ楽になった。眠れるようにもなった」とおっしゃいました。

まだ完治までは行っていませんが、峠は越えたという段階です。

アトピー症状に、変化がない!?

この方の経過は、皮膚の変化は順調に改善していましたが、この1か月の間、ご自身の満足いくほどの効果は感じていらっしゃらなかったのです。

「まだ変わってないですね」
「眠れないです」
「背中が熱いです」
「今はとにかく足がつらいです」

この一か月の間はこのような返答が主でした。

つまり、写真上でははっきりとした変化が表れているのに、「なにも変化がない」という感覚をずっとお持ちでした。

このことは、アトピー治療を進めていくうえで、とても大切なことです。

何を言いたいのかというと、「鍼治療をすると、身体の状態は良くなります。だけど『良くなった』とあなたが意識で感じる取るまでには、タイムラグがありますよ」ということです。

だからもし今あなたが、鍼灸や、よそで何かしらの施術を誰からか受けていて、「効果を感じることができない」という状態だったとしても、その治療が効いていないとか、あきらめて次の治療を試そうかというようなことを、すぐには決めない方がいいということです。

「からだ」と「症状」の関係を「植物の発芽」を例に考えてみる

地中に植えた種が、地上に芽が出ないからといって、それが成長していないかというと、そうじゃないよって話です。

地上に芽を出すためには、根を生やさないと安定して伸びていくことができませんよね。

「身体が良くなる」というのは根が生え広がるということです。

「症状が良くなる」というのが、芽が出るということです。

患者さんは、芽が出ることだけを意識しています。

だけど、芽が出る前に根が必要だということを覚えておいてください。

あなたが自覚症状に変化を感じていないのに、私が「体が良くなってきていますよ」というのは、「根は広がってきています」という状況を示しています。

根がしっかりしてくれば、芽が出るのは時間の問題です。

この写真の方は、1か月は効果を自分の体で感じることはできませんでしたが、写真で見比べると変化があって、良くなっていることを確認いただけたので、ずっと通っていただけましたし、その結果、施術効果も積み重なって、自覚症状の改善を感じ取るところまでは回復できました。

で、今回この、「治療効果にはタイムラグがある」という話をお伝えしようと思ったのには、理由があります。

発芽は人それぞれのタイミング。つまり、効果を感じ始めるのは個人差がある

それは、「タイムラグには非常に個人差があるよ」ということをお伝えするためです。

そんなに症状が重くなかったり、経過が短かったり、もともとの身体の状況が悪くない状況、つまり、ある程度「根がある状態」だと、施術したその日に「芽が出て」治療効果を感じる方がいることも事実です。

だけど、この方のように、身体は良い方向へ進んでいたとしても、それを実感として認識できるのは1か月後の場合もあるのです。

変化の度合いがもっと緩やかだと、もっと効果を感じるのが遅くなります。

やはり、なるべく早く良くなったと感じたいものですし、施術する私の方もそう感じてほしいと思っています。

その方が「良くなるかも」という希望が見いだせるし、「これならがんばってやってみよう」という風に、良いサイクルになるからです。

ただ、そんな簡単にいかないのがアトピー性皮膚炎の厄介なところであります(笑)

今回は写真で比較してわかりやすかったので、ご本人も納得できたのですが、写真には写し取ることのできない、ツボの繊細な状態の変化というものが多数存在するのです。

ツボの状況なんて写真にとることはできないので、いくら私が「ツボの状態は良くなっています」といっても、患者さんの方も「あ、ほんとだ。ツボが良くなってる。自覚症状は変化感じないけど、良くなってるみたいですね」とはならないのです。

まあ、それでも「ツボの状態は良くなってます」と説明はするんですけども(笑)、患者さんの方は「まあ、よくわからないけれども、ヨシダがそういうのならもうちょっと頑張ってみようかしら」と内心はいろんな思いが混ざっていることと思います。

アトピー治療を進めていくうえで、こういうもやもやした期間が少なからずあるということを予めご理解いただけるとありがたいです。

 

土の状況、水の状況、光の状況など、いろんな状況を総合的に見ていかなければ、しっかりと根を張ることもできませんし、発芽することもできません。

年単位でアトピーを患っている方は、そういう状況がどれも不利になっていますので、どうか焦らないで、「じっくり待つ」ということも頭に入れておいてほしいと思います。

いろんな人を施術していくと、こういう経過をたどる方が非常に多いです。

「以前より、ツボの状態が良くなっています。まだ自覚症状に変化は出てませんが、この効果をもっと積み重ねると、そのうち、実感として感じられるようになってきますので、もうちょっと続けて頑張っていきましょう」

このようなフレーズは毎日誰かに言っていると思います。

私はこの辺は結構シビアに見ていますので、逆に「まだ、ここが変わっていないので、すぐに効果を実感するのは難しいと思います」ということも言います。

「肉体」が良い状態になれば、「自覚症状の変化」がやってくるのは時間の問題

ともかく、この「タイムラグ」のお話は覚えておいてください。

「自覚症状の変化が現れるより先に、肉体に変化が訪れる」ということを。

逆に言うと、

「肉体に変化が訪れない限り、自覚症状の変化は現れない」

ということもまた、日々の臨床で感じていることです。

ということは、こうも言えます。

「肉体に変化があれば、自覚症状の変化はいずれやってくる」

私が、「変化した」というのならばそれは、いずれ「楽になった」と感じる瞬間が来る可能性が高いということです。

あとは、その「いずれ」を焦らず待てるかどうか。

どうか、焦らず待っていてください。

というわけで、アトピーの良化にはタイムラグがあるよというお話でした。