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中学1年生女子のアトピー鍼灸治療例(2)

初診

2018年8月

主訴

首の後ろ、脇の下のアトピーによるかゆみ・湿疹

状況

もともと肌が弱く、今年1月にインフルエンザにかかり、熱が出た時に全身に蕁麻疹が出た。他にも熱が出た時に蕁麻疹が出現する傾向があり、それは保育園の頃から起こっている。

皮膚科でステロイドを処方されるが、使用はしておらず、メンソレータムを患部に塗ると少し楽になる。

本格的に症状が出始めたのは6月初旬。

最初は首の後ろに赤味かゆみがあったが、6月末に運動会で日焼けをしたら、その時からひどくなり、次第に前面に広がってきた。

初診時は首の後ろと左わきのかゆみがトップ。

他には鎖骨周辺、膝裏にかゆみがある。

睡眠状態としては、かゆみで1回起きることはあるが、掻けば眠れる。

1日のかゆみの持続時間は1時間~6時間

とくに学校の教室に着いたときに、汗が出ると同時にかゆみが出現する。

授業への影響は、痒みはあるが、まあ頑張れる。集中しにくいという事はない。

既往歴

左鎖骨骨折(12歳)

治療

元々皮膚に症状が出やすい体質ではあったが、食生活の乱れと、中学生になって休みなしの部活と週3回の塾通いが始まり、体に疲労とストレスが蓄積していたところに鎖骨骨折が加わり、脇や首周辺の血流循環がわるくなり、それが強い日焼けをきっかけに炎症が始まったという病理を描いた。

初回は鍼を嫌がったため、刺入しない鍼と、やけどをしないお灸による施術。他にストレッチと呼吸法を自宅で行えるように指導。

治療頻度

週1回ペース

治療経過

翌週の2回目来院時に、痒み・赤味が引き良化傾向。

話を伺うと、前回の施術が気持ちよかったこと。そのままかゆみが楽になったことを確認。

治療効果によるものか、ご両親に説得されたのかわからないが、「鍼をする!」と言ってくれたので、頭と足に1本ずつ細い鍼を使用。

「痛い?」と聞いたら、「よくわからない(笑)」とのこと。

「よくわからない」という事は、「痛くない」という事なので、以降の治療も当たり前のように刺入する鍼を毎回1,2本使用した。

結果、合計5回 1か月という短期間で卒業となった。

まとめ

ここまで短期間で、「卒業」を言えるまでに回復するのはやはり早い方である。

ステロイドを使用していなかったことと、元々便通があったという事、年が若いという事が大きな要因であった。

ステロイド使用の有無はやはり大きな問題だと考えている。

お母様は「鍼を刺さないと治らない」という意識であったが、決してそんなことはないという事を説明すると「そうなんですね」とおっしゃられていた。

確かに刺入した方が治りが早いと言えるが、的確に体の状態を捉えることができれば、刺入せずとも体の状態・皮膚の状態は確実に良い方向へ向かう。

思春期のアトピーは周りの目も気にし始める時期なので、ステロイドで安易に症状を消したがる傾向があるが、子供の将来を考えて、果たしてそれが本当にベストな選択なのかどうかを考えてほしいと思う。

色々な考え方があり、正解は一つではないが、私は、薬を使わずに子供が笑顔になることが一番だと考えている。またそうしたいと思っている親子の役に立ちたいと思っている。

そういうお母さんにこの症例記事が役に立てばと思う。