患者
40代女性
初診
2018年8月
主訴
アトピーによる顔、特に目の周り、手指(指間)の発赤とかゆみ
状況
6月に右目がかゆくなり、そこからだんだんと赤くはれてきて、ステロイドを2週間塗って赤味やかゆみが引いたが、それはそれで怖くなり、塗るのをやめて、1か月経つ。今は元に戻っている状況
子供のころに小児喘息を患っており、その時ステロイドを使用していた。
22歳のころに、顔や全身にアトピーが広がり、出歩くことができなかった。
ここ6年くらいは夜勤の仕事をやっている。家に帰って化粧を落とした時にかゆみが出てくる。
一日のかゆみの持続時間
1時間~6時間
既往歴
翼状片
その他の症状
腰痛、便秘、胃もたれ、胸やけ、足のむくみ、手足の冷え
便通は二日に一回、硬めの便が出る。
汗は夏場でも出ない。
鍼灸治療について
週1回ペースで治療開始。
最初の数回
施術直後は目の周りの赤味が増えるが、腫れぼったくなることはなくなった。
1か月後(5回目)
施術直後に赤くなることはなくなり、むしろすっと赤味が引くようになる。
施術の効果が1週間近く続くようになってきた。
「なんで治療した後って赤味が引くんだろう、不思議・・」という言葉が印象的。
2か月後(10回目)
目の周り赤味なく、指の周りもかゆくない。
比較的最後まで残った頑固な指の股のかゆみ・荒れ症状もなくなったので継続治療はここでいったん終了。
まとめ
目の周りだけが赤くなる、かゆくなる、という方は結構多い。この方は女性で、化粧などをすると特に悪化する。
治療をすると最初は効果が数日しか続かなかったのが、次第に持続時間が伸びるようになり、無事卒業の運びとなった。
お体を拝見すると順調に良くなっているのだが、症状の波はあったので、その都度患者さんは不安を口にされていた。
当院ではこのような場合に、初回か2回目あたりに写真で記録をしているので、最初の頃の状態と現在の状態を見比べることができる。
すると、「かゆみがある・赤味もある・変わっていない」という印象をお持ちでも、写真を見ると、「あ、変わってる・良くなってる・前より赤くない」と口にされることもよくある。
「かゆいかかゆくないか」のみにフォーカスしてしまうと、実際は良性方向に変化しているのに、「変わっていない」という印象を持ってしまい、それが又悪い方へ傾くきっかけになってしまう。
一足飛びに良くなりにくいのが特徴のアトピー性皮膚炎ではあるが、しっかりとした観察と、体の状態をよくすることを積み重ねることで、きっと出口は見出せる。