春という季節は、アトピーの方にとっては鬼門です。
毎年多くの方の皮膚が大悪化します。
酷い人は浸出液が止まらない。
夜も眠れないし、傷ができて首や肩も動かしにくい。
落ち着いたと思ったら、また悪化してしまう。
「もうこれでやっと落ち着いた」と思ってもその波がどんどん繰り返しやってくる。
「一体いつ終わるのか?」
そんな思いが終始頭をかけめぐる。
心と体の疲弊がピークになる季節。
先日も、そういう女性がいらっしゃいました。
まだ学生。
いらしたときに、あまりのひどさで顔じゅうが落屑で、ボロボロとはがれている。
浸出液もひどい状態。
夜もほとんど眠れず、食欲もない。
うちに来た時も、気力が無くて、ほとんどしゃべれない状態。
色々体を見た結果、鍼を刺すときに、前回とは鍼の深さを変えました。
どう変えたかというと、「浅く」刺しました。
そして、今日来院されて、結果を確認。
調子を尋ねると、「足がだいぶ楽になりました」とのこと。
確かに、赤みとむくみが減って、すっきりしているのは、一目瞭然でした。
上半身も、しんどさは残るものの、浸出液が減って赤みも若干マシになっていました。
この方は、じっと手を当てていると、体から水分が蒸気みたいに湿っぽくなるほどの状態なのですが、それも減っていました。
「よし、まずまず」
と、内心ほっとしました。
前回の治療で工夫したのは「深さ」。
しかも、深く刺すのではなく、浅く刺す。
「鍼は深くないと効かない」とか
「本数が多ければ多いほど効果がある」
なんて誤解されがちですが、事実は違います。
「深いと効かない」場合があるし、
「浅い方が効果がある」ことも当たり前の事実です。
本数の問題も多い少ないでは効果は語れません。
この辺は毎回工夫しています。
とにかく少しでも楽になってもらう。
そのために深さ、本数、角度、リズム、あらゆることを工夫する。
一撃必殺は無理でも、ほんの数パーセントずつの効果のかけ合わせで、確実に良くなる道を模索する。
そんな毎日、そんな毎回の連続です。
いつもそうではあるのですが、この時期はとにかくこういう、ヒリヒリする毎日を送っています。
「早く気候が安定してくれ!」と、怒りにも似た気持ちで毎日を送っています(笑)