「先日、同じ日に、それぞれ別々に3人の友人と久しぶりに会ったのですが、その三人から『顔がすごいキレイになったね』と言われました」
と言ってくださったある男性。
「お、それは良かったじゃないですか」と私。
「でも、、ということは、それまでの顔の状態は良くなかったと思われてたのかなぁと、いうのも同時に思ってしまって・・・」
・・・
そうなんですよね。
多分、これ、アトピーの方は結構あるあるなんじゃないかと思います。
例えば、毎日自分の肌を見ている家族からの何気ない一言で「あ、今日は落ち着いてるね!」と、良い意味で言われたにもかかわらず、
「え?じゃあいつもはそうじゃないって思ってたってことなのかなぁ?それはそれで、なんだかなぁ・・」
って思った方、居るんじゃないでしょうか?
私はこれ、何回か、いや、何回も聞いたことがあります。
繊細過ぎる心の機微。
この心の機微は、残念ながら「元気な人」にはわからないのです。
「元気な人って罪なんですよね」
と、よくお話します。
「今日は良い感じだよね」
この一言が誰かを傷つけることがあります。
「え?そんなことで?」
そうなんです。
「そんなことで?」と口走ったら、それもまた傷つけています。
感受性の解像度が違うのです。
「そんなことで?」と言われたアトピーの方は「なんでそんなに鈍感なの?」と心の中で思っているのです。
言わないだけです。
もしあなたが「そんなことで?」のことばを無意識に発しているようなら、たぶん誰かを傷つけているかもしれません。
「言葉を発する」ということは、それだけで、相当に重い行為なのだなと、私もアトピーの方を通して学びました。
「人は生きているだけで誰かを傷つけている」
ということを昔お世話になった先生が言っていました。
「人を傷つけない、ということは無理でも、自分の発する一言が誰かを傷つけているかもしれない、そこに思いを馳せながら生きることが大切なんだ」とも言っていました。
何年前の言葉か忘れましたが、いつも思い返す言葉です。
その時まで私も「そんなことで?」の側の人間だったのです。
今もそうかもしれないですし、実際そうなのです。
根は鈍(どん)なので、せめて鍼を握っているときだけは敏(びん)でありたいと思っています。
自分とはおよそ違う価値観・感覚・感性の人間が、同じ家族、友人、仕事仲間に密集している、そういうことをどれだけ骨身に沁みて理解できるか?
私も勉強している真っただ中です。
想像力がなくなったら人間は終わりです。
もう生きている価値もない。
そんな奴は死んでしまえ、とすら思います。
・・・
え?そんなことで?
(笑)
ではまた。