「瘀血(おけつ)のツボってどこですか?」
「自律神経のツボってどこですか?」
「かゆみをひかせるツボってどこですか?」
「眠れるツボってどこですか?」
「手のかゆみをひかせるツボってどこですか?」
「色素沈着を治すツボってどこですか?」
「浸出液を止めるツボってどこですか?」
・・・
とにかくいろいろな「〇〇のツボってどこですか?」を聞かれてきました。
これからも聞かれ続けるのだろうと思います。
皆真剣に向き合って、良くなりたいという思いから発する質問なので、その深い部分ではとても共感して受け止めています。
「〇〇のツボってどこですか?」の背景には、「ここに鍼を打ってください」「ここを押せば、お悩み一発解決ですよね?痒み引いて眠れますよね?自律神経整いますよね?瘀血治りますよね」という希望が込められています。
しかし残念ながら、「ツボ」というのは「何かのスイッチではない」のです。
だから、ここに鍼を刺せば何かが一瞬にして消え去るというたぐいのものではありません。
そんな便利なものはステロイド、プロトピック、デュピクセントなどの「薬」しかありません。
たとえば、受験生が「先生、偏差値上がるツボってどこですか?そこに鍼してくれませんか?」と言ってきたら、どう思います??
「そりゃあ、ちょっと、無理だべさ」と皆さんそのくらいは想像がつくと思います。
「地道に勉強頑張るしかねぇべ?」って。
アトピー治療というのは、「炎症を起こさせない体に育てていく」「からだの偏差値を上げていく」というイメージです。
なので「地道にからだづくりをがんばるしかないんですよね」といつも答えています。
もう、夜も眠れなくて仕事も集中しにくくて、そんな苦しみから早く抜け出してい方にとっては、私のそっけない返答は、地に落とされるような感覚かもしれません。
しかし「そんなものはない」と言い切ってからが治療の始まりなので、笑顔で「ないんですよねぇ~」と答えています(笑)
今日もまた一人、からだの偏差値をしっかり底上げし、無事に卒業された方がいました。
40歳の男性です。
脱ステして17年もたつのに、浸出液が止まらない、という状況でうちに来ました。
この方は無職でした。
とてもじゃないけど働けるような状態ではなかった。
滲出液がひどく、黄色なんだか灰色なんだかよくわからない色のかさぶたのようなものが常にオデコ、顔、首、背中、足、手首と、まあ全身に広がっていました。
経過はかなり遅かったです。
順調とは言えない中で、めちゃくちゃ辛抱強く通ってくれました。
「皮膚さえよくなれば、今すぐにでも働きたい」
いつもそう言っている彼の眼はとても力強かったです。
「そこを目指して頑張っていきましょう」
いつもそういう気持ちで接していました。
そんな彼が、就職の面接を受けるとこまで回復しました。
良かった。もう、大丈夫。
当然皮膚も、「普通」です。
黄色でもなく灰色でもなく、「肌色」です。
あ、いまの時代は「はだいろ」と言ってはいけなかったんでしたっけ?
まあ、昭和生まれなんで許してください(笑)
それはともかく、Kさん、おめでとう、これまでよく頑張ってこられました。これからも頑張ってください、応援しています。
ではまた。